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多発性硬化症

多発性硬化症は、特定疾患に指定されている難病です。日本での患者数は、10万人に1~4人といわれています。早いうちから進行していく病気なので、一刻も早く治療を始めることが重要になります。特徴や症状、治療法などから多発性硬化症が一体どんな病気なのかを説明していくことにしましょう。

どんな病気?

多発性硬化症は、中枢神経系の脱髄疾患の1つに数えられます。脱髄疾患とは、どのようなものなのでしょうか。脳や脊髄の神経細胞には、軸索(じくさく)という突起があり、この突起が他の神経細胞につながって、細胞と細胞の間で情報伝達を行っています。さらに軸索には、それを包む髄鞘(ずいしょう)と呼ばれるサヤのようなものがあり、突起を保護したり、電気的な情報伝達をスムーズにできるような働きをしています。この髄鞘の部分に炎症が起き、役目を果たさなくなることを脱髄といいます。こうして脱髄が起こると、神経細胞の情報伝達がうまくいかなくなり、さまざまな症状があらわれます。また、男性よりも女性に多い傾向にあります。

主な症状

多発性硬化症の症状は、どの部分に炎症が起きているかによって異なります。どんな症状があるのか、見ていきましょう。

視力障害

視神経が障害されると視力が低下したり、視野が欠けたりします。視神経のみが侵されるときは球後視神経炎といい、目の奥に痛みを感じるなどして多くの人は眼科に行きます。その中の一部の人が後に多発性硬化症を発症します。

眼球運動障害

脳幹が障害されると、目を動かす神経が麻痺してものが二重に見えたり、眼振が起きたりします。

運動障害

顔の感覚や運動が麻痺したり、ものが飲み込みにくくなったり、話しにくくなったりします。小脳が障害されると真っ直ぐ歩けなくなったり、手が震えたりします。脊髄が障害されると、胸や腹の帯状のしびれ、ピリピリとした痛み、手足のしびれや運動麻痺、排尿障害などが起こります。

ウートフ徴候

入浴や運動、発熱などによって体温が上がると、一時的に症状が悪化することをウートフ徴候といいます。体温が戻れば、症状は和らぎます。

検査と診断

多発性硬化症の診断には、どんな検査が行われるのか見てみましょう。下記の検査のほかに血液検査も行われますが通常、異常などは認められないことが多いです。これらの検査結果を総合して多発性硬化症なのか、あるいは別の病気なのかを診断します。

髄液検査

症状の悪化した時に、炎症の反応が見られます。髄液検査で細胞数の増加、総タンパク の増加などが認められます。

誘発電位

視覚、聴覚、体性感覚などの刺激を与え、その刺激が脳に達するまでどのように伝わっていくか、主にそのスピードを調べます。この検査で、病巣の確認をすることができます。

画像検査

CTとMRI両方が行われますが、特にMRI検査が多発性硬化症の診断には有効とされています。

治療法

多発性硬化症の場合、急性期、進行抑制、症状緩和の治療法としては薬物療法が中心になります。一般的には、副腎皮質ステロイド薬の投与が主です。最近は大量のステロイド薬を点滴治療する「ステロイドパルス療法」が多く行われています。このほか、慢性期の治療は痛み、疲労感、しびれなどの症状を和らげるための薬物療法以外に、筋肉の硬直を解消するためのリハビリなども重要な対症療法の1つになります。

病気への理解

この病気に関してはまだ情報が少なく、認知度も低いため、正しい診断につながりにくいというのが現状です。病院での治療だけでなく、家庭内や社会の中でも症状への理解を高め、サポートしていくことが重要です。多発性硬化症の患者さんが病気を抱えながらも、充実した生活を送るためには、医療スタッフをはじめ、家族、友人、会社の同僚、社会全体の正しい理解とサポートが欠かせません。


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