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筋ジストロフィー

「筋ジストロフィー」は、徐々に筋力が低下し、筋が萎縮(いしゅく)していく進行性の病気です。以前は一度発病したら悪化していく一方で、20歳まで生きられない病気とされていましたが、今は医学の進歩によって病気の進行を遅らせることもできるようになりました。症状などから、どんな病気なのか具体的に見ていくことにしましょう。

どんな病気?

「筋ジストロフィー」は、筋肉の細胞が少しずつ壊れていく、進行性難病です。遺伝子異常が、この病気の原因といわれ、その遺伝形式によって、いくつかのタイプに分けられています。各タイプについては、「主な症状」の項目で紹介することにしましょう。ところで、「筋ジストロフィー」は何が原因で発病するのでしょう?原因として考えられているのは、ジストロフィンという筋肉を正常に機能させるためのタンパク質をつくる遺伝子の異常です。ジストロフィンをつくる遺伝子は性染色体のX染色体に含まれているのですが、筋ジストロフィーを発病している人には、そのX染色体の異常が多く見られます。また、女性は「筋ジストロフィー」を発病しにくいといわれますが、なぜでしょう?これは、男性は1つしか持っていないX染色体を女性は2つ持っているからなのです。

主な症状

すでに述べたように「筋ジストロフィー」にはいくつかのタイプがあり、発症年齢や症状、進行速度などが違います。「ジュシェンヌ型」、「ベッカー型」、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性(福山型)の大きく6つに分けられます。

「ジュシェンヌ型筋ジストロフィー」

日本で一番発病頻度の高いのが、このタイプです。男性に多く見られ、たいていは5歳までに発症します。小学校に上がる頃には、階段の上り下りが難しくなって、歩く際にはお腹を前に突き出して、腰を大きく揺らすように歩く動揺性歩行が見られます。さらに、床からの立ち上がりも難しくなります。また、軽度の精神発達の遅れが出る場合もあります。

「ベッカー型筋ジストロフィー」

このタイプは別名を「良性ジュシェンヌ型筋ジストロフィー」ということからも分かるように「ジュシェンヌ型」と似ていますが、わりと進行が遅く良い経過をたどるのが特徴的です。多くは5~25歳までに発症しますが、歩行はもちろん、走ったりすることもできるとされています。また、精神発達の遅れはありません。

「肢帯型筋ジストロフィー」

男女共に発症し、症状の進行も緩やかです。「肢帯型筋ジストロフィー」の原因になるのは、性染色体ではなく常染色体と呼ばれる性別以外の部分を決定する染色体になります。基本的にはゆっくり進行していきますが、まれに重症化するケースもあります。

「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー」

このタイプは、胸から上の顔面、肩、上腕部に症状が現れます。原因が肢帯型筋ジストロフィーと同じ常染色体なので、男女共に発症します。上腕部のみの萎縮、目を開けたまま寝る、腕が上がらないなどの症状が見られます。進行は比較的遅く、ほとんどが健常者と同様に天寿をまっとうします。

「先天性筋ジストロフィー」

「福山型先天性筋ジストロフィー」ともいい、常染色体が原因とされています。男女共に発症する筋ジストロフィーの中で一番重篤な症状になります。大きな特徴として、脳障害を伴うということが挙げられます。筋力低下に伴う運動障害のほか、けいれんや精神発達の遅れなどの症状が出ます。

検査と診断

「筋ジストロフィー」の診断には、さまざまな検査が必要になります。血液検査、神経伝導検査、筋電図、筋生検、DNA解析などの検査を行います。そして、総合的な診断が下されます。ちなみに「筋ジストロフィー」は筋肉が壊れていく病気で、しかも筋肉そのものに異常があるために壊れていくのですが、筋肉に通じている神経に異常をきたすことで筋肉が壊れていく病気も存在します。なので、こういったものとの鑑別をちゃんとしなければいけません。

治療法

「筋ジストロフィー」の根本的な治療法についての研究は、とても盛んに行われてはいますが、まだきちんと治療法を確立するまでには至っていません。そのため、今のところは症状の度合いに合わせながら生活の質より良くすることが治療の一環になるといえるでしょう。進行を遅らせるため、積極的にリハビリをしたり、必要に応じて装具や呼吸器などの導入を検討しましょう。また、電動車いすやリクライニング式のベッドを取り入れるなどは、本人だけでなく、家族にとっても必要な工夫になります。


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