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重症筋無力症

重症筋無力症は、自己免疫疾患の1つと考えられています。10歳以下の子供と30歳以上の人、さらに男性よりも女性のほうが発病しやすいといいます。さて、特徴や主な症状、治療法などを通して、この病気がどんなものなのかを紹介していきましょう。完治は難しいですが、気長に治療を続けて付き合っていくことが大切です。

どんな病気?

重症筋無力症は、その名からもわかるように筋肉が動かなくなる病気です。運動命令は、電気刺激として神経を伝わって筋肉まで届き、そして筋肉を収縮させます。こうして私たちは、手足を動かしたり、いろんな顔の表情ができるのです。神経と筋肉の間にある神経筋接合部というすきまには、アセチルコリンという物質があり、そのアセチルコリンが刺激を最終的に伝える働きを持っています。ところが重症筋無力症になると、この伝達がうまく行われなくなります。その結果、筋肉の収縮が十分にできなくなり、次第に神経の命令どおりに筋肉が動かなくなってしまいます。


自己免疫機能が障害されることで、こういった病気が起こると考えられていますが、根本的な原因は不明です。ただ、過度の運動やストレス、疲労といったものや、予防接種、抗生剤などの使用、または虫歯や副鼻腔炎というような慢性のかんせん症などがキッカケで、重症筋無力症を発病することもあります。

主な症状

重症筋無力症の代表的な症状には、手足の疲れやすさ、ものが二重に見える、まぶたが下がってきて見えにくくなる…などが挙げられます。筋肉を繰り返し動かしているうちに、だんだん力が入らなくなってきます。ですが、安静にしていると筋力が元に戻ります。この症状を筋肉の易疲労(いひろう)性といいます。また、筋力低下に関しては眼筋に症状が出るだけでなく、四肢や顔面、舌、喉にも麻痺の症状が見られます。午前中は軽くて、午後から強くなる…というような日内変動が、重症筋無力症の症状の特徴といえるでしょう。さらに、呼吸筋にまで麻痺が及ぶと、呼吸困難に陥ることがあります。

検査と診断

重症筋無力症は、最初に行う問診でおおまかな診断を下すことができます。それは、特徴的な症状の1つ「易疲労性」があるかどうかが、診断の大きなカギとなるからです。そのほか、主に次のような検査を行います。

薬理学的検査

この検査では、アセチルコリンの分解を抑える薬を投与して、症状が改善するかどうかを調べます。

筋電図検査

この検査で、筋肉への電気刺激を繰り返して、筋肉の収縮が少しずつ弱まっていくかどうかを調べます。

血液検査

血液検査で、抗アセチルコリン受容体抗体を測定することができます。全部が高い値を示すわけではありませんが、それでも診断の有力な証拠になります。

胸部X線検査・CT検査

重症筋無力症は胸腺腫を合併していることも多いため、X線やCT検査で胸腺に異常があるかどうかを詳しく診ていきます。

治療法

重症筋無力症の治療法としては、まずアセチルコリンを増やす治療を行います。この治療には、一般的に作用時間の長い薬剤が使われます。さらに、免疫抑制薬も投与されます。薬を使った治療で効果が見られなければ、抗アセチルコリン受容体抗体を取り除くために、血漿(けっしょう)交換療法を行います。これで症状の改善がかなり期待できますが、抗体を作り出すこと自体を抑制するわけではないため、クリーゼという症状があらわれたときに特に効果的な治療法といわれています。クリーゼとは、急激に症状が悪化し、呼吸困難になったりした場合のことをいいます。また、胸腺摘出手術を行う場合もあります。長期的にみると手術が有効ですが、思春期前の子供に対しては避けたほうがいいでしょう。


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