一度出血すると、血が止まるまでに時間がかかってしまう先天性の病気が、血友病です。症状がそれほど重くなければ普通の生活を送ることができますが、それには周囲の理解と協力が必要になります。ここでは、血友病の主な症状や治療法、いざというときの対処法などについて紹介しましょう。
血友病とは、血液を固める因子が十分に働かないために、血液が止まるまでに時間がかかる病気のことをいいます。血液中には、血液凝固因子というものが含まれていて、その働きによって出血しても血が止まるようになっています。その凝固因子は13番目まで12種類あるのですが、そのうちの8番目の因子が不足している場合を「血友病A」、9番目が不足している場合を「血友病B」と呼びます。この血友病という病気は一般的に男児のみがかかり、1万人に1人の割合といわれています。日本では「血友病A」が約4,000人、「血友病B」が約800人いるとされています。
血友病の原因としては遺伝的要素が考えられますが、他にもインヒビターという阻害物質が凝固因子の働きを悪くしている場合があります。インヒビターが活発になって値が高まると、ひどく出血して簡単には治療できなくなってしまいます。
血友病の症状は大きく重症型・中等症型・軽症型の3種類に分けられます。
たいてい重症型は月に数回、中等症型は数ヶ月に1回程度、軽症型はほとんどなし…といった感じで症状があらわれます。
全体として目に見える出血よりも目に見えない出血(皮下出血)のほうが多く見受けられます。成長とともに、さまざまな出血が見られるようになります。
皮下出血や血腫、関節内の出血といった症状が一番多く認められます。さらに、けがをした際に血が止まりにくくなることもあります。また、歯茎からの出血、鼻血、血尿などの症状が出ます。
出血しやすい部分の診察と、家族や親戚で血の止まりにくい人はいないか…などの問診から、おおまかな診断ができます。その診断を確定するために血液凝固検査や、遺伝子検査を行います。
血友病の基本的な治療法は、補充療法になります。不足している血液の凝固因子を注射で補充する治療法です。この治療には“出血時にのみ注射する”、“朝に前もって注射しておく”、“定期的に注射する”という方法があります。どの方法は合っているのか、医師とよく相談して決めましょう。また、出血による痛みに対しては湿布などを使うことも効果的です。今のところは、この病気を完治させるような治療法は見つかっていません。
いざというときでも、症状に合わせて落ち着いて対処することが大事です。以下に部位別の対処法を紹介します。また、家族の人や本人も医師や看護師から注射の手順を教わりましょう。自分で注射できるようにしておけば、急な出血にも慌てずに済みます。出血が続く場合は、速やかに病院へ連絡してください。加えて、頭部、関節、筋肉の出血が疑われる際にも直ちに受診しましょう。
出血部位 |
対処法 |
皮下 |
痛みがなければ、湿布などをして様子をみましょう。 |
皮膚上 |
小さなキズなら、数分圧迫しましょう。 |
鼻 |
座った状態で、小鼻の部分を10分ほど圧迫しましょう。 |
歯茎 |
何もしなくても治まります。歯磨き時に力を入れすぎないようにしましょう。 |
尿 |
安静にして、たっぷり水分補給をしましょう。 |