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ハンセン病

ハンセン病とは一体どんな病気なのでしょうか。あまり聞き慣れない名前で、どんな病気なのか知らない人も多いでしょう。数多くの症状が現れ、これと言った予防法もない病気です。感染症ですので、家族の誰かが発症すると、高確率でうつります。

どんな病気?

抗酸菌の1つである『らい菌』が、皮膚のマクロファージ内寄生や、末梢神経細胞内に寄生することによって起こる感染症です。以前は『らい病』『ハンセン氏病』とも呼ばれていました。らい菌によって、皮膚や鼻の粘膜、末梢神経や眼などが侵される慢性の全身性の感染症です。皮膚や粘膜の小さな傷から、らい菌が侵入するのではないかと考えられています。菌自体の感染力は弱く、仮に感染しても発病することは稀ですが、家族の中に感染者がいると、他の家族にも感染しやすくなります。感染してから発症するまでの潜伏期間も長く、3~5年と言われています。中には数十年かかっているケースもあります。

主な症状

ハンセン病の主な症状は、皮膚症状と末梢神経症状です。らい菌に適している温度が30~33度のため、肝臓や脾臓、腎臓などの温度の高い臓器に発症しても症状はみられません。

一次症状

皮膚症状と末梢神経障害が現れます。

LL型
(らい腫型)

皮膚症状

皮疹の状態は、斑状、結節、丘疹ができます。疼痛や痒みなどはありません。特徴として、発疹が左右対称に出来、境界は不明瞭、表面は脂っぽくて滑らかな感じです。

神経障害

全身に神経の肥厚は現れますが、知覚障害は軽度です。

TT型
(類結核型)

皮膚症状

様々なタイプの発疹がでますが、発疹は非対照的でLL型に比べると数も少ない。境界は明瞭で、単純な弧を描きます。発疹箇所は皮膚の構造が破壊され、毛が脱落したり、発汗障害が出て、知覚障害も生じます。

神経障害

早い時期に皮疹と一致した知覚障害が出ます。限局的に神経の肥厚もおきますが、LL型のように左右対称には生じません。

B群
(境界群)

様々な発疹や神経障害を生じるLL型、TT型の移行群の総称です。

I群
(未定型群)

皮膚症状

平坦な淡紅色斑が2~3個でき、境界は不明瞭です。

神経障害

神経肥厚はなく、知覚障害もほとんどありません。

二次症状

ハンセン病神経障害のため、二次的な様々な症状が現れます。

眼症状

顔面神経麻痺により、眼が開いたままになり、三叉神経麻痺による角膜の知覚障害が起こり、角膜炎を併発して失明する場合もあります。鼻粘膜が障害されると涙管閉塞を起こすこともあり、頑固な結膜炎を起こす場合もあります。

神経因性疼痛

ハンセン病では様々な神経痛が起こり、神経因性疼痛と呼ばれています。
突然強い痛みに襲われる電撃痛があり、だる神経痛なども起きます。特定の場所を触ると疼痛が起きたりします。

脱毛

LL型の場合は眉毛まで抜けてしまい、治ったあとも再生しません。動脈に沿って毛が残る特徴もあります。

変形

顔面神経麻痺によるもの。LL型の場合、軟骨が侵されるので、鞍鼻や耳の変形が生じることもあります。

四肢

猿手、鷲手が尺骨神経や正中神経麻痺によって起こります。四肢の萎縮や欠損も生じ、X線検査では骨の萎縮も認められます。

うら傷

足の裏を中心にできる慢性の難治性の潰瘍です。

その他の
皮膚疾患

自律神経障害が起こるため、皮膚からの発汗作用が障害され、乾皮症になります。傷ができやすく、治りにくいということが起きます。知覚障害があるために、外傷や熱傷に気づかないこともあるので注意が必要です。

筋萎縮
運動障害

四肢が萎縮するために、運動障害が起きます。咽頭部での運動障害では誤飲や嚥下障害が起きるので、誤嚥性肺炎に注意が必要です。

検査と診断

神経の肥厚や知覚の麻痺、皮膚の病変や手足の変形、皮膚組織からのらい菌の検出などで診断します。似ている症状のリンパ腫や梅毒、乾癬、サルコイドーシス、尋常性白斑との区別が必要です。

治療法

一般感染症の扱いで、外来治療になります。殺菌と感染源の対策がされ、治療薬によってらい菌を消滅させたり、活動を弱めます。


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